プロジェクタやモニタに接続する際のTips†
プレゼンや講義、学会発表など、ノートパソコンやタブレットからプロジェクタや外部モニタに出力することが仕事で多々あります。その際に使用する会場や機器担当の方と端子形状や仕様で意思疎通が図れない際に役に立ちそうなことをメモしています。
筆者(すながわ)は専門家ではありませんので正確な記述をしていません。参考程度にご覧ください。
なお、メジャーな仕様のみを書いていますので、これ以外の仕様が存在することをご理解の上、ご覧ください。
つまり、百聞は一見にしかず、「実機で実際につないで確かめた方が早い」ということです。
用語の定義†
このページでは以下のように用語を使用しています。
- PC側接続ポート
- 操作をする側のパソコンやタブレットを「PC」と表記し、そのPCにケーブルを接続する部分を接続ポートと表記します。
- 表示側接続ポート
- PCの出力を表示するためのプロジェクタやモニタを「表示機器」とし、その表示機器にケーブルを接続する部分を接続ポートと表記します。
端子の種類†
VGA端子(RGB端子)†
- 正式には「VGA端子」と呼ばれるが、「RGB端子」と呼ばれることも多い。
- 端子形状として「ミニD-Sub 15ピン端子」とも呼ばれる。規格では定義されていないが、コネクタは青や黒であることが多い。
- アナログ信号のため、伝送路で信号に劣化が発生する。
- 1990年〜2010年頃のパソコンや表示機器で最も主流。
- ノートパソコンやMicrosoft Surface RTなど、あえてこの端子を搭載し続ける機種もあるが、IntelやAMDは2010年末までにVGA端子を廃止し、HDMIやDisplay Portに移行する方針。が、2017年現在、IntelはDisplay Portを廃止してUSB Type-Cへ移行する意向を出したのでもう訳が分からない。
- BNC端子(「5BNC端子」ともいう)と信号が同じため、変換アダプタや片方がBNC端子になっているVGAケーブルがある。プロジェクタを使った会場設営では長距離伝送ほどBNCの方が劣化が少ない。
- Apple MacのMini VGA端子を搭載している機種では、Macのオプション部品である変換アダプタでVGA端子に変換できる。
DVI端子†
- 2000年〜2010年頃の液晶モニタやデスクトップPCによく採用されていた端子。規格では定義されていないが、端子は白であることが多い。
- 基本的にはデジタル信号とアナログ信号の両方を利用できるため、デジタル信号を利用すると信号が劣化せず、高画質な映像を伝送できる。
- DVI端子のPCとVGA端子しか持たない表示機器の組合せでも、安価な変換アダプタを利用すれば接続することができる(逆は不可)。ただし、アナログ信号となるため画質は劣化する。
- 規格は、DVI-I(デジタルアナログ兼用)、DVI-D(デジタル専用)、DVI-A(アナログ専用)、がある。多くの端子はDVI-Iであることが多いが、表示機器側は内部的にはデジタル信号しか受け付けないことが多く、VGA端子をDVI端子に変換して表示機器に入力しても認識されないことが多い。また、DVI-D端子の横長いピンは、DVI-I端子の横長いピンとサイズが違うため、VGA変換アダプタを接続できない。
- 高機能な機器ではより高解像度に対応したDual Link (DL)ケーブルを要求する機器がある。
- 派生規格には、Mini-DVIやMicro-DVI(Appleの機器で2000年代に多く採用された。以降はMini DisplayPortへ変更されている。)がある。
- 互換規格には、VGAやHDMIがある。VGAは先述した変換アダプタを利用してVGA端子の表示機器に接続できる。HDMIはDVIに音声や著作権保護機能を加えた端子であり、映像のみであれば安価な変換アダプタで接続することができる。
- Apple MacのMini DVI端子やMicro DVI端子を搭載している機種では、Macのオプション品である変換アダプタでDVI端子やVGA端子に変換できる。
HDMI端子†
- 2006年頃からPCとともに、AV機器に多く採用されている。
- DVIの規格に音声伝送機能や著作権保護機能や機器制御機能などを加え、アナログ信号を廃止したた規格。DVIのデジタル信号と同じく信号が劣化せず高画質。
- 以前は映像ケーブルと音声ケーブルをそれぞれ接続する必要があったが、 映像信号と音声信号を1本のケーブルで接続できるようになった。
- 規格が厳密であり、規格団体に加盟しないと機器やケーブルを製造できないため、非常に互換性が高い(機器同士の相性が良い)。
- バージョンがある。1.0(初期)、1.2a(機器制御機能(ビエラリンクやブラビアリンクなど)など対応)、1.3(音声と映像のズレ補正(LipSync)機能など対応)、1.4(3D機能など対応)、2.0(2160p解像度(4K UHDTV)など対応)。当然、機器のバージョンにケーブルのバージョンを合わせる必要がある(例えば、1.4aの機器には1.4a以上のケーブル)。下位互換性(機器のバージョンに対してケーブルのバージョンが上位であっても問題ない)。ケーブルはできればバージョンを高いものを買った方が良い。
- ケーブルのカテゴリがある。スタンダード(720p, 1080i映像に対応)、ハイスピード(1080p映像や8bit超色深度)。できればハイスピードを利用した方が良い。
- 端子は5つのタイプがあり、主に利用されているのは、タイプA(標準)、タイプC(Mini HDMI:ビデオカメラなど)、タイプD(Micro HDMI:携帯電話やデジタルカメラなど)。
- 著作権保護のため、2010年頃からHDMI信号をアナログ信号に変換できないように段階的に規制されてきている。
- ワイヤレス規格が存在するが、HDMIとは関係がなく、全く別の規格である。
- ケーブルの長さに規定がない。一般的に販売されているケーブルでは10メートルまではある。ブースターを中継したり、同軸ケーブルタイプを利用すれば、100メートル以上伝送できるとされている。
DisplayPort端子†
- 2006年頃にDVI端子やHDMI端子を小型化する目的で登場した。Intelも推進している。これからAV分野ではHDMI、ビジネス分野ではDisplayPortが多くなると思われる。
- しかし、2017年にIntelがDisplayPortを廃止し、USB Type-Cへ移行することを発表した。
- AV機器で多く採用されているHDMIでは解像度に限界があるため、HDMIを採用できない医療分野やCADなどでの利用を想定されている。
- DVIやHDMIと一部互換性があるが、解像度が高すぎて表示できないHDMI機器や音声伝送にも対応している機器とそうでない機器がある。
- 派生規格としてMini DisplayPortがある。Apple MacBookなどで採用されていた。変換アダプタを接続すればDisplayPortやHDMI、DVIに変換できる。
USB Type-C端子†
RCA端子†
- AV機器でビデオデッキやDVD、カセットテープ、CD、コンポなどで広く使われていた端子。Blu-rayやハイビジョン映像を扱う機器からはHDMIに置き換えられつつある。
- 端子形状は一緒でもプラグの色によって信号が異なる。以降の項目を参照。
コンポジット映像信号(黄色のRCA端子)†
- ほとんどのビデオデッキやDVDデッキで採用されていた映像信号の伝送方式。黄色のRCA端子。
- 多くは音声伝送の赤RCA端子と白RCA端子の3本合わせて接続することが多い。
- 3つの伝送方式(NTSCとPALとSECAM)がある。日本の機器ではNTSCが採用されている。
- コンポーネント信号やS端子、D端子の方が画質が劣化しにくい。
コンポーネント映像信号(赤・緑・青のRCA端子)†
- 高機能なビデオデッキやDVDデッキなどに採用されていることが多い。コンポジット映像信号では1本に合成して伝送している輝度信号・同期信号・色信号を分離してそれぞれの信号線で伝送する。
- コンポーネント映像信号よりも画質の劣化が少ない。
ステレオ音声信号(白・赤のRCA端子)†
- ビデオデッキやDVDデッキ、コンポなどに多く採用されているアナログ音声信号の伝送方式。白と赤のRCA端子
- 小型機器やヘッドホンでは2本の信号線を1本にまとめた「フォーンプラグ」を採用している機器がある。
フォーンプラグ†
- 小型機器やヘッドホンなどで多く採用されている音声信号の端子。形状には規格があるが、ピン配置や信号には規格が乱立しているので、見た目が似ていたり、サイズが同じでも接続できないことがある。拡張して映像やマイク信号も伝送する規格もある。
- フォーンプラグの例。右図の左側から、2.5mm 2極(マイクロ)、3.5mm 2極(ミニ)、3.5mm 3極(ミニ)、6.3mm 3極(標準)。
- 頻繁に抜き差しする用途に適しているが、抜き差しする際にピンがショートすることがあるため、本来は電源を切った状態で抜き差しする必要がある。
- 多くの機器はミニプラグ(3.5mm径)の3極が採用され、ステレオ音声信号を伝送する。
- SD映像のビデオカメラやポータブルDVDプレーヤーなどでは出力端子として、ミニプラグ(3.5mm径)の4極が採用されていることが多く、RCA端子のコンポジット映像とステレオ音声出力ができる機器とケーブルが多くある。
FAQ - よくある質問†
ノートパソコンをプロジェクタに接続できるか?†
- まず、VGA, DVI, HDMI, DisplayPortなど、パソコンがどの端子を搭載しているかを調べる。
- 次に、プロジェクタがどの端子を搭載しているかを調べる。
- それぞれを接続するケーブルや変換アダプタを持っているか確認する。
- 接続しても表示されない場合は、リフレッシュレートが高すぎる、解像度が高すぎる、変換アダプタでは変換できない方式である、ノートパソコンが外部出力に切り替わっていない、などが考えられる。
Apple Macをプロジェクタに接続するには?†
- まず、VGA, DVI, DisplayPortのMacがどの端子を搭載しているかを調べる。
- 次に、プロジェクタがどの端子を搭載しているかを調べる。
- Macではそれぞれの端子のミニサイズが搭載されているため、それぞれのミニサイズからフルサイズに変換するアダプタを持っているか確認する。
- 接続しても表示されない場合は、リフレッシュレートが高すぎる、解像度が高すぎるなどが考えられるので、Macの設定を変更する。
タブレット端末やスマートフォンをプロジェクタに接続するには?†
- メーカーによって異なる端子を搭載しているため、その端子を調べてケーブルなり変換アダプタなりを用意する。
- 画面をそのまま出力できる機種もあれば、設定をしないと出力できない、スライドショーしか出力できない、特定のアプリを利用しないと出力できない、など機種によって操作や仕様は異なる。
- 従って、実際にやってみるか、マニュアルや仕様書を読むしかない。
パソコンでCD,DVD,Blu-rayを再生できるか?†
- ほぼケーブルや端子の問題ではない。
- パソコンのOSはそもそもDVDやBlu-rayの再生機能を持っておらず、再生ソフトがインストールされていないと再生できないことが多い。まずは、再生ソフトや対応したドライブが搭載されていることが必要。
- パソコンに搭載されているドライブや再生ソフトによってはCPRMやCCCDなど、著作権保護機能のあるCDやDVDの再生に対応していないものがある。
- 最近の小型パソコンではCDドライブやDVDドライブを搭載していない機種もある。
- できればポータブルDVDプレーヤーを持ち込んでRCA端子で接続することを勧める。